大切な眼鏡に感謝をこめて 「めがね供養」という文化

 2025年度「めがね供養」が開催されました 

 2025年10月8日、秋晴れの穏やかな空の下、徳島県めがね商連合会による「めがね供養」が今年も厳かに執り行われました。 会場となった鳴門市の葛城神社には、長年愛用されてきた眼鏡や、故人が生前使われていた眼鏡など、県内外から数多くの眼鏡が奉納されました。 

 整然と並べられた眼鏡のひとつひとつに、それぞれの思い出と感謝の気持ちが込められています。 長年使ってきた眼鏡や、家族の遺品となった眼鏡を手放す際、「ただのゴミとして捨てるのは気が引ける」と感じる方も多いでしょう。 そんな方におすすめしたいのが、この「めがね供養」です。 

 徳島県めがね商連合会は、平成10年(1998年)に「めがね塚」を建立し、以来、毎年この葛城神社でめがね供養を行ってきました。 「日々の暮らしを支えてくれた眼鏡に感謝を捧げる」――その想いを形にした行事であり、県内外から多くの方が眼鏡を納めに訪れます。 

  供養の舞台となる葛城神社は、奈良県御所市の本社を起源とし、天喜年間(1050年頃)に創建されたと伝えられる由緒ある神社です。 御祭神は「葛城一言主神(かつらぎのひとことぬしのかみ)」。 日本神話によれば、第22代・雄略天皇が葛城山で猟をされていた際、天皇と同じ姿の神が現れ、「我は一言主神なり」と名乗られました。 その後、一言主神が巨大な猪を退治して天皇を救ったことから、「一言の願いを聞き届ける神」として信仰を集めてきました。 徳島の葛城神社はその分社であり、地域に根ざした信仰の場として人々に親しまれています。 

 めがね供養では、奉納された眼鏡を神職が祈祷し、お清めを行ったのち、徳島県めがね商連合会の加盟店が一つひとつ丁寧に確認します。 再利用可能な眼鏡は修理・調整を行い、視力矯正が必要でありながら眼鏡を手に入れにくい国や地域――主にタイの山間部や農村部の方々へ寄贈されます。 こうして供養を終えた眼鏡は、再び新たな持ち主のもとで「見える喜び」を届け、第二の人生を歩み始めます。 

  一方で、再利用が難しい眼鏡や破損の激しいものもあります。 それらは単に廃棄されるのではなく、「修理用のパーツ」として活用されています。 ネジや丁番、鼻パッド、装飾パーツなど、再生可能な部品を取り外し、ほかの眼鏡の修理に役立てる取り組みです。 

 この活動の根底には、「ものへの感謝」と「再び活かす心」があります。 眼鏡は、単なる視力矯正の道具ではありません。 日常の中で多くの時間をともに過ごし、持ち主の人生を見つめ続けた“相棒”のような存在です。 だからこそ、感謝を込めて見送り、次の誰かのために生かす――めがね供養は、その優しい循環を象徴しています。 

  徳島県めがね商連合会では、一般の方からの眼鏡供養の受付を年中行っております。 使わなくなった眼鏡、壊れてしまった眼鏡、思い出の詰まった眼鏡がございましたら、お近くの加盟店までお持ちください。 各店舗にてお預かりし、責任をもって神社に奉納させていただきます。 

  これからも徳島県めがね商連合会は、地域の皆さまとともに、「ものを大切にする心」「感謝の心」「次につなぐ心」を守り伝えてまいります。 めがね供養が、眼鏡を通して“見えることのありがたさ”を改めて感じていただける機会となれば幸いです。

徳島県めがね商連合会

徳島県めがね商連合会とは、 メガネを通して社会貢献する団体です。